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<<   作成日時 : 2008/10/27 00:24   >>

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この作品を観たのは,3日前の夜のことだ.
いつかBSで放送されたものをHDレコーダに保存していて,
それを思い出したように,再生した.
予感はあった.

新海誠の作品は,「ほしのこえ」と「雲のむこう、約束の場所」は観て
いたし,作品の方向性はなんとなく想像できていた.
だから,過去の作品の傾向から,自分の心に響くものがあるだろうとは
予想していた.

それでも,こここまで自分の心が揺さ振られるとは思いもよらなかった.
本当に自分でも驚いた.
翌日から,寝ても覚めても,この作品のことを反芻していた.
(今日も自転車にいま一つ集中し切れなかった)

初めて観たあと,Blu-ray Discと小説は,すぐに注文していた.
小説は届いてすぐに読んだ.

それでも,自分の中に,自分自身で整理できない何かが残りつづけている.
作品の余韻というには重過ぎ,すこし気持ち悪いので,
自分なりに整理をつけることにした.

こういう行為は,作品に対して自分勝手な解釈を与えて,自分を納得させる
だけでのものであって,作品を楽しむという意味では,あまり適切とは思わない.
でも,やらずにはいられない.
なぜなら,僕が前に進めないから.


自分の心が揺さ振られた理由の1番目は,当然,
遠野貴樹に感情移入し過ぎた...というか自分自身を投影しているからである.
映画としても,特に第1話において,貴樹の主観の画作りや,音の配置で,
作中に没頭し易くなる作りにはなっている.
でも,それ以上に自分にとっては,作中の年代,第3話ラストにおける
遠野貴樹の年齢,小田急沿線(豪徳寺)の小学校へ転校したことなどなど,
自分との接点が多いのが決定的に効いた.
そして忘れてはならない接点は,自分も現在独り身であること.


遠野貴樹に感情移入することで,篠原明里の特別さが否が応にも高まる.
しかし,明里ちゃん(あえて,こう書く)は,一般的な見方では特別な子ではない.
例えば学園のアイドルとか,どこかの令嬢とか,そういう存在(記号)ではない.
どこにでも普通にいる(ような)いい子である.
初デートにお手製のお弁当を持ってきてくれるぐらい,いい子である!!

でも,貴樹くんにとっては本当に特別であった.
これは第1話で幾つかのエピソードで綴られている.
そして,この特別を巡る構図が,この作品を彼方のお話ではなく,此方のお話
として,自分に届かせている.
戦争で引き裂かれた恋人はピンとこなくても,転校で離ればなれになる
小学生(中学生)には,共感できるのである.
この地続き感が,自分の心が揺さ振られた理由の2番目のはず.


そして,3番目は,"if"を考えてしまいたくなる構成になっていること.
理由は違えど,お互いに渡せなかった手紙,言えなかった言葉がある.
もし手紙を渡せていたら,もしキスの前に,好き(離れたくない)と言えていたら...
ついつい色々と考えてしまう.
ただ,この"if"についは,小説において,貴樹がこう回想している.
『どちらにしてもいろいろな結果は変わらなかったんじゃないかとも思う.』
確かにそうかもしれない.でも,明里ちゃんに
『貴樹くんは,この先も大丈夫だと思う.ぜったい!』
と言ってもらった貴樹くんが,全然大丈夫でなかった(特に第2話において)のが
ひたすらに悲しいのだ.

だからこそ,第3話で運命の再開!!という展開もありかなと思ってしまう.
しかし,作品の趣旨というか監督が伝えたかったのは,そんなドラマチックな
恋愛劇ではなく,人と人との距離,恋心の不変と変遷なのも分かる.
第3話で運命の再開!!という展開でも,自分の心には響いたかもしれない.
でも,ここまでは絶対になかったはずだ.
それは,ある種のバッドエンドの方が心に響き易いということではなく.

そもそも,基本的なスタンスとして,僕はこの映画はハッピーエンドだと
思っている.物語の最後,遠野貴樹は前に進み始めたのだから.
それは,映画冒頭と最後の踏切シーンを較べれば,明らかである.

小説では,その傾向はさらに強まっていると思う.
結末は変わってはいない.でも,救われる.
主な理由は,大人になった明里の回想とモノローグがあることと,
お互いに渡せなかった手紙の文面があるからである.
この手紙の前後は,小説としても技巧的で秀逸な箇所だと思う.
僕にとっては,明里ちゃんの手紙はイメージ通りで,貴樹くんの手紙は
イメージとは違っていた.象徴的なフレーズは,明里ちゃんの『好きです』と
貴樹くんの『好きでした』かな.
でも,2人とも別れを正面から捉えて未来をみていることに違いはない.

ただ,この手紙の内容なら,貴樹くんには,もっと手紙のように第2話で振る
舞って欲しかった.この手紙を,しっかりと明里ちゃんに渡せていたら(あるいは
同じ内容を口で言えていたら),明里と再開する展開は別として,
まったく違う彼の人生になっていたのかもしれない.
ひょっとしたら,貴樹くんの手紙は夢の中で大人になった貴樹が,
こう書いておきたかったと思っている内容なのでは!?...とか思ってしまう.

いずれにせよ,大人の明里にとっても,明里ちゃんの思いが色褪せず,
彼女の血肉となっていることに,遠野貴樹に感情移入してしまった人間は
癒されるのである.変遷したものと不変であるものが,確かにそこにある.

明里は,雪の日の奇跡の一夜を,貴樹くんへの思いを,不変のものにするのに
中学の卒業式までかかった.貴樹は,15年かかった.2人の違いは,それだけ
なのかもしれない.あとは,"だけ"というのに,15年という時間を長いと思うか
そう思わないかである.

小説にある,大人になった明里の回想とモノローグに代表されるように,
この作品は,屈曲したところがない.
第2話での,携帯メールはすれすれのラインかもしれないが,
「少女革命ウテナ」の御影草時のようなキャラクターが登場して
『君を最初に見た時から、僕には判っていたよ。君もむかし、大切な人に出会ったんだろう。そして、その人に自分の人生を変えられてしまったんだろう。僕と同じように!!』
ってな展開には少なくともなっていない.って,当たり前だ!!(^^;

屈曲したところがない,というか,作中の純粋さは,
表現として,背景(美術)にはっきり表れている.
記憶はいつも美化されるというが,その記憶そのものを
絵にした背景は本当に惚れ惚れする.
特に見慣れた景色では顕著で,あんなに綺麗な新宿駅は
見たことがない!!


ここまで長々と書いて,ようやく整理できてきた気がする.
なんにせよ,自分の心に残る"おそろしく"素晴しい作品である.


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